「スール/その先は… 愛」「恋の情報網」&「カフェ・ソサエティ」

 …昨日の話し。

 午前中、DVDでフェルナンド・E・ソラナス監督のアルゼンチン映画「スール/その先は… 愛」を観て、昼から白金高輪へ。

 午後2時、高輪図書館の映画上映会でレオ・マッケリー監督の「恋の情報網」を観ました。その後、神保町へ。

 午後7時、神保町一ツ橋ホールでウッディ・アレン監督の新作「カフェ・ソサエティ」の試写会に行ってまいりました。

 ☆「スール/その先は… 愛」(1988)監督 フェルナンド・E・ソラナス 出演 ロベルト・ゴジェネチェ、ミゲル・アンヘル・ソラ、スス・ペコスラーロ、イネス・モリーナ、ウリセス・ドゥモン

 民主化されて間もない1983年のアルゼンチンで、食肉加工工場の労働運動の活動家だったフロレアル・エチェゴージェンが、5年間拘束された刑務所から出所した。

 妻ロシのいる家を覗くが、入らない。夜の通りで、死んだはずの仲間のエル・ネグロらと再会するが……。

 エル・ネグロの亡霊との語らいから、よみがえる過去。…5年前、フロレアルが官憲に追われた時に身を寄せた廃駅。そこでの女性マリアとの浮気。逮捕され、投獄されたパタゴニアの刑務所。そして、刑務所での夫婦の再会。フロレアルの仲間のロベルトとロシのはかない “ 愛 ” 。夫フロレアルはこのことを知り、激怒するが……。

 …これはいいわ。これは、凄い政治的な映画!しかし、…同時に “ 愛 ” の映画だ!!!

 76年のアルゼンチンの軍事クーデターを背景に、政治犯として5年間の監獄生活を送った主人公フロレアル・エチェゴージェンの苦悩と喜びに揺れる一夜を、アストールピアソラバンドネオンに浸りながら描いた傑作です!

 …とにかく、その音楽、美術、語り口の素晴らしさ!ものすごい美意識の高さである。

 2時間7分の間、…じぃ〜〜〜っと浸ってしまいましたよ。好きだわ、この映画。

 『人間の人生は とどのつまりは 愛が軸なのさ』

 ☆「恋の情報網」(1942)監督 レオ・マッケリー 出演 ジンジャー・ロジャースケーリー・グラント、ウォルター・スレザック、アルバート・デッカー、アルバート・バッサーマン、フェリケ・ボロス、ハリー・シャノン、ナターシャ・ライテス

 1938年、ナチスの支配下にあったウィーンで、アメリカ娘のキャサリンオーストリアの男爵と結婚することになっていた。

 一方、彼がヒットラーと組んでいることを知ったジャーナリストのパットは、彼女から情報を聞き出そうと彼女に接近し、彼女が結婚した後でもそれが続いた。

 やがて、男爵の悪行を感じ出すと共に、キャサリンはパットが好きになっていき……。

 「めぐり逢い」「我が道を行く」などで知られるレオ・マッケリー監督のいわゆる “ スクリューボール・コメディ ” なのですけれども……。

 面白いんですけどねぇ。なんとなく、妙な映画なんですよ。

 なにしろ1942年、戦時中の映画ですからね〜、戦意高揚の意味でもあるんでしょうが、恋愛喜劇なのに、やたら人が死ぬ。

 ドッカンドッカン空襲はあるわ、ユダヤ人迫害はあるわ、そこら中裏切り者だらけのスパイ合戦はあるわ、…やっぱり、映画は時代を写す鏡なんですねぇ。

 なんだか血生臭いラブコメとでも申しましょうか……。(笑)

 エルンスト・ルビッチとかビリー・ワイルダーハワード・ホークスあたりに撮らせたら、もっと面白くなったんじゃないかな。

 ☆「カフェ・ソサエティ」(2016)監督 ウッディ・アレン 出演 ジェシー・アイゼンバーグクリステン・スチュワートスティーヴ・カレルブレイク・ライブリー、ジーニー・バーゲン、パーカー・ポージー、コリー・ストール

 1930年代。ニューヨークに暮らしていた青年ボビーは刺激にあふれた人生を送りたいと願い、ハリウッドに向かう。

 そして彼は、映画業界のエージェントとして大成功を収めた叔父フィルのもとで働く。

 やがてボビーは、叔父の秘書を務める美女ヴォニーのとりこになる。ひょんなことから彼女と距離を縮められて有頂天になり、結婚を考えるようになるボビー。

 しかし、彼女にはひそかに付き合っている男性がいて……。

 …80歳を越えたウッディ・アレン、さすが老境の名人芸とでも申しましょうか、余裕の人間喜劇ですな。

 ただ、今回はいつになく “ キレ ” が感じられない。

 30年代黄金期のハリウッドを舞台にしていることが売りのようだが、どうも観客側の期待するような “ ゴシップ ” 的な面白さは意外にこの映画なは、ない。

 そうした部分に、ウッディ・アレンはほとんど興味を示さない。

 …だいたい主人公ボビーは映画の半ばで、とっととハリウッドから撤退し、ニューヨークに帰ってしまうのである!

 30年代のハリウッド、そしてニューヨークのセレブリティたちの華やかさは十分楽しめるのだけれども、どうも上っ面ばかり。

 むしろ、個人的にはボビーの両親や兄弟たちの、いつものようなユダヤ人家庭がやはり上手くて面白く、そちらのほうをもっと深く描いてほしかったなぁ。

 …やっぱり、陽光ふりそそぐカリフォルニア、ハリウッドは、ウッディ・アレンに似合わない。

 ニューヨーク、セントラルパークで、夜明けのシャンパンのほうが “ らしい ” でしょ。(笑)

 ん〜、期待したほどではなかったけれども、でもいいんです。まだまだ、これからも新作を作っていただきたいです。

 やっぱりウッディ・アレン映画は好きだなぁ♪