2人の天才スケーター

誤解を恐れずにいうのなら、この2人の天才がオリンピックという舞台においてという点でのみ明暗が分かれたのは、偏に男女の差だったのかな…と思っている。

勿論運とかタイミング等色んな要素が重なった事も大きいと思う。

しかし、その王子様のような容貌で華麗に銀盤を舞う羽生選手であったが、その実彼の闘志は男性的で時にとても激しく、鬼神のごとき迫力であった。

マナーの悪い選手に対しては声を荒げて怒る事もあった。

対する浅田選手は、勿論内に秘めた闘志は誰にも負けなかったはずだが、女性故にそれを剥き出しにする事は憚られ、走行妨害をされた側にも関わらず濡れ衣を着せられそうになっても黙って最小限の反論のみで耐えていた。

それは女性は常に優しく美しくあれという世間一般の期待に応えようとした結果だろう。

しかしスポーツ競技というのは清廉潔白であれば常に勝てるというわけではなく、時に内に秘めた闘志を剥き出しにしないと勝てない事もある。

日本を背負った女性アスリートとして、そして後輩達の手本となるべく自分を律していたであろう浅田選手。そのこと自体はとても素晴らしい志しで誇らしいと思う。

ただ、一ファンとして本音を言わせて貰えばもっと自由にもっと自分の闘志を出してくれても良かったと思う。

いつかのFPで3A前に転倒した後の彼女の闘志に燃えた顔つきと、快進撃は今でも忘れられない。あれが彼女が普段は女性だからとおそらくひた隠しにしていたであろう内に秘めている闘志の片鱗だったと今でも思っている。

そういうストイックさが彼女の魅力でもあり、多くのスケートファンの人々に愛された理由でもあるし、今更たらればを語っても詮無い事ではあるけれど、必要以上に重圧を感じずスケートを彼女に楽しませてあげられなかったことは今でも残念に思う。

ただ今は競技生活から離れる事によってまた昔のように滑るのが楽しくて仕方がないという真央ちゃんに戻ってくれる事を願っている。

何はともあれ浅田選手と羽生選手、この2人の天才がほぼ同世代で同じ時期に男女フィギュアスケート界を牽引したという事実だけでもすごい事なのに、その奇跡の世代をリアルタイムで観る事ができた幸運に感謝したい。

フィギュアスケート女子の浅田真央中京大)の引退を受け、今年3〜4月の世界選手権男子覇者の羽生結弦(ANA)は、「トリプルアクセルも、複雑なステップも、伸びやかなスケーティングも、浅田選手にしかできない演技を、どんな状況でも、どんなときでも挑戦する姿を見てこられて幸せでした。フィギュアスケートが大好きな浅田選手のスケートが大好きです。これからもずっと私の憧れの人です。たくさんの夢をありがとうございました。また会えることを楽しみにしています。本当に、お疲れ様でした」とコメントを発表した。

羽生結弦「ずっと私の憧れの人」 浅田真央引退受け

(朝日新聞デジタル - 04月11日 17:15)