似顔絵描きの青年とボク

【似顔絵描きの青年とボク】

こないだホカ弁を買いに行った帰り、公園を通った。

公園には春の花の香りが溢れていた。うーん・・・春だなあ。

沖縄なので過ごしいい季節だ。

「天気も気持ちいいし、ここで弁当食うか」とベンチに座ってしばらくすると青年が来てゴザを敷き、看板を出した。 すると、

「似顔絵描き¥500」

ダンボール紙に書いてゴザに座っている人がいた。

沖縄では割と珍しく、どんな人が描いてもらうのかな?と思い、弁当そっちのけで観察していると若い青年だった。ジーンズの膝の部分が破れている。その青年が僕のとこに来て、

「似顔絵どうですか?」と言った。

弁当を買っておつりがちょうど560円。 迷ったが、

「じゃあお願いします」と記念に描いてもらった。

20分後、青年が「出来ました」と言うので絵を見るとなかなか力強いタッチの絵だった。

お金を払おうとすると青年は

「納得いく出来ではないのでお金はいいです」と言った。

今時珍しい青年だな・・・と思い

「じゃあ納得いくまで描いてください」と言うとビックリして

「いいんですか?」と聞くので「いいですよ」と言うと、大地に座ってまた描き始めた。

ボク「・・・」

青年「・・・」

ボク「いつもここでやってるんですか?」

青年「ええまあ・・・」

ボク「・・・」

青年「弁当食べていいですよ」

ボク「・・・」

青年「そんなこと言われたの初めてです」

ボク「何がですか?」

青年「納得いくまで描いていいって人」

ボク「・・・」

2時間後、青年が描いた絵を見るとメガネをかけている。ボクはコンタクトでメガネなどかけていない。しかしどっかで見た顔である。

500円払うと青年は笑って

「初めての稼ぎです」と嬉しそうに言って帰っていった。

帰り道、ずっと絵のモデルを考えているとやっと思い出した。

「あ、ウチの親父の顔だ」

ボクは青年の洞察力に脱帽し、その絵は居間に飾ることにした。

ボクはコーヒーを飲みながら

「年取るとああいう顔になるのか」と思った。